「私には、河野くんの事情は全然わからないけど、このままほっとけない。」
「あの人たちに広めさせなかったらいいんでしょう?」
「要するには」
なんとかやってみせよう。
どうにか。どうしよう。
私にできることはなんだろうか
*
「ねえ…あの、いいかな」
携帯を2人でのぞきこんでいるさっきの女子に話しかけた
「何?」
きっとこんなアホそうな女子には
アホそうな話で通じるかな
「さっき、カワンファルの素顔をのぞきみたでしょう」
「は、カワンファル?」
「おっと、失礼。カワンファルとは河野くんだ。アッチでの名前なんだ」
若干のジョジョ立ちポーズで決めてみる。
「アッチって?見たけど…何?あんたも見てるんでしょ?」
「それを広めないで欲しいの」
「何で?」
「いや、広めないほうが良い…」
黙ってジョジョ立ちの違うポーズに切り替える。
よし、福田いい調子だ。
「カワンファルはエクセヘンチャーとの契約を交わした。
嗚呼…昔はもっと青々としていたのだけれど…
エクセヘンチャ―との禁断の契約をし、闇の者となってしまった」
「不死身かつ最強の宝石、ファーゴルの力を手に入れようとし、カワンファルは色々な民を殺し、カワンファルは堕天使となった。エルペンの世界ではもうカワンファルはラングハンスだ。」
もう自分で何を言っているかわからない
「アッチの世では飽き足らずに人間界まで堕りてきたのでしょう。私はその張り込みとして派遣された者。さきほど、素顔を見た時にカワンファルはどんな目をしていた?」
「……すごく怖い目をしてたわ」
「嗚呼…何てことだ…」
どんどんアホな女子も乗ってきて、真剣な顔になった。
「それは非常にまずい。カワンファルは足が治り次第すぐに君たちを殺しにくる予定に違いない。逃げても無駄だ。カワンファルの力は偉大だ」
「…そんな…じゃあどうすれば」
「安心して頂戴。あなたたちはさっき見た事を忘れ、周りに広めないことと、この事を誰にも言わないこと。言っておくけれど、私もアッチの世界から来たのだから力だってあるのよ。例えば、誰かに言っていたら絞殺す程度の監視ね」
ごくっと息を飲んで、解った、と答えた
「よし。あとは私の力で、カワンファルのさっきの記憶を消すわ。まあ、私にできるのはこれぐらいだけれど」
信じてくれたか。この話を
「ありがとう!!」
目に涙を浮かべて感謝された

