不思議の国の河野くん


「何で?いいじゃん」


「言ったら…締めるぞ」



締めるぞ、の河野くんの顔は今日一番に怖かった。



「なん…なの。わかったわよ。」



女子は私に気づかず、反対方向に早歩きしていった



急いで保健室に入ったら一瞬河野くんはびくっとしたが、私と気づいて真顔に戻った




「バレた」


「バレたね」



少し沈黙が続いた




「油断してたな。俺、最悪。しかもあいつらとか」


「あれは絶対に広めるよね」




私を見ずに真っ直ぐ真顔で前を見つめていた河野くんは、私に視線を変えた




「俺、もう転校しないといけない」


「…え?」



「ここにはいられなくなる。噂はすぐに回る。携帯って、厄介なものだな」



せっかく仲良くなれたのに、



そんな、1日で?





「どうしてバレたらいくの?私にはバレていたのに」



「正直、あれは凄くうっかりしていた。しかし、お前だから広めないと信じていた」



じゃあ信じてくれるなら、もう少しいてよ