不思議の国の河野くん



「不思議の国のアリス…。なかなかお前のわりにファンタジーなものを借りたな」


「私がファンタジーなの借りて悪かったわね…」




鹿の被り物をかぶったままの河野くんは、黙って席を立った。



そして黙ってどこかへ行ったから、私は小説をパラパラめくっていたら



河野くんがなぜかスキップで帰ってきた




「俺が前から気になっていた本があった」


少し嬉しそうだった



題名は


もしもキューリが世界崩壊のたくらみを持っていたら

~そして農家は語る~




なんじゃこら





「な…これどんな話なの?河野くん。」


「題名からわかるように、キューリが世界崩壊、つまり世界征服をたくらんでいた場合を想定した話だ」


なるほどわからん



「キューリがどうやって世界を崩壊までみちびくの?」

「色んな方法があるが、まあ、まずは農家の気まぐれからはじまるんだ」


割と太めなそのキューリの本のページをめくりながら説明をはじめた河野くん。



「農家はある日突然、色んなところでキューリを育てたい、と考えた」


「しかし、農家の願いには叶わない。なぜなら、その地域ごとに環境が違うから育てることができない。」



「農家は今世紀最大の悩みをかかえた。どうすれば…どうすればどこでもキューリを育てることができるんだ!!」




「そして、悩みに悩んだそのキューリ農家の生涯に幕がおろされ、地元で育てていたキューリは無残に枯れ果て、ホームレスの大群衆に襲われむざんな姿となった」



「そこで愛しい農家のもとで育てられ、出荷されたキューリたちは怒り狂ったのだ。それが、はじまり」





…ん!?