HR終了後、春亜のところに行った。

「春亜、三浦先生のことどう思う?」

「どうって?」

「かっこいいな、とか、恋愛の対象に、とか」

「かっこいいとは思ったけどね。恋愛はないよ。だって、あたし彼氏もちだし」

「うそ〜! ホント!? どの人?」

「う〜。あいつ」

春亜が指指した男子は、見たところクラスで一番背が高くてルックスもいいやつ。

「小学校同じで、仲良かったし。で、実は両思いだったというのが分かってさ?」

春亜がいうに、小学校の頃の春亜の友達がその子が春亜のこと好きだっていう事を春亜に教えたんだそうで。春亜は気持ちを秘めていたんだけど、その子に頑張って告って付き合い始めたらしい。

「…。春亜の彼氏、名前…何?」

「知らないよね。まあ当たり前だけど…。あたしの彼氏の名前はね…。川崎海都」

「海都君かぁ。かっこいいよね。お似合いだよ、春亜」

「そぉ? ありがと。ところで、愛奈は?」

「ん?」

「愛奈は、彼氏とか好きな人とかは…?」

「いないよ」

「そっか…。んじゃ中学生になったら恋したいみたいな?」

完璧に言い当てられちゃったんですけど!?」

まあいいか。春亜なら。春亜になら相談にも乗ってもらえるだろうし、大丈夫。

「まんま当たり。私、恋したことないんだ」

「そうなの? 意外だなぁ。愛奈カワイイから彼氏いると思ってたのに」

「カワイイとか…。ナイナイナイ! …いいなとか思うのはたまにいるけど、好きとかまでは考えたことないし…」

「告られたコトとかは?」

「一回だけならあるよ」

五年の頃、クラス1のモテ男と称されていた男子に告られたことがある。でも、私の答えはNO。

その男子のことは嫌いじゃなかったし、正直告白は嬉しかった。でも私は、

『ごめんなさい。私、吏駆夜君に恋愛感情ないの。好きでもないのに付き合うなんて悪いから…』

と言って交際を断った。やっぱり本当に好きな人ができるまで恋人は作らないつもり。

好きでもないのに付き合うなんてあり得ないと思う。

「愛奈は誠実なんだね」

「え?」

「あたしに初カレができたのは小5の時なんだけどね、付き合って一ヶ月で破局しちゃって…」

「え…」

一ヶ月で破局…?

なんで…?

「原因はあたしなの。彼氏いたのに、その時くらいから海都のこと気になり出して、それが彼氏にばれて破局。当時は大変なことになったよ…」

「春亜…」

「ううん、でももう今は幸せ! 海都がいるから」

「…恋愛っていいことばっかりじゃないんだ」

「まあ、最初っから全部うまく行ったらつまらないじゃん。確かに辛いこともあるけど、最後には必ずいいことがあるから!」

苦難を乗り越えたら幸せが待っている。

まさにこの言葉が当てはまりそうだ。