祈りの月

 重い気分を抱えたまま、久しぶりに自宅に帰ると、玄関先に白い封筒が置かれていた。

 見覚えのある、丁寧に書き綴られた字。

 サリーシャからだった。

 カイは封を切って、几帳面に折られた便箋を開いた。


『カイへ

 先日は、忙しいところ、ごめんなさい。
 言い忘れたので、手紙置いておきます。
 もうすぐ、月祭りです。覚えてた?
 カイは、いつも仕事仕事ですぐ忘れちゃう
 から。
 もしかすると、ティルシアで最後の月祭りに
 なるかもしれないから皆で過ごしましょう?
 友人をたくさん呼びます。
 ドゥリーにも声をかけておきます。

               サリーシャ』


「・・・・・・月祭り」

 そういえば、確かにもうそんな時期だった。

 惑星ティルシアには、月に関する様々な伝承があって、月そのものが信仰の対象となっている。

 年に一度の月祭りの日は、月を信仰するこの星にとって大切な行事だ。

 一年の、ちょうど半分にやってくる、満月の日。月が、一番美しく輝く日だ。

(14日後・・・・・・か)