俺はあの女にされたことを 初めて親父に話した。 そんな女だったのかと、 言ってくれると思った。 だが、親父は女が出て行った のは俺のせいだと責めた。 ひどいときは酒を飲み、 俺を蹴ったり殴ったりした。 泥酔していた親父に 仕返しは出来ただろう。 だができなかった。 親父は本当に俺の母さんを 愛していた。 仲が良かった俺の家族。 母さんが病気で死んだとき、 親父は何週間も泣いていた。 もちろん、俺も。 そしてまた、親父は その女を愛していた。