きみに会える場所~空の上ホテル~

外は、真っ白い霧に包まれていた。全然前が見えない。

コカナタくんが袖を引っ張った。

「こっち。塀に手をつけたまま歩いてね」

私はうなずくと、そろそろと歩き出した。

こんなに霧が深くて、東条茂人さんを見つけられるのかな・・・・・・。

私たちはしばらく無言で歩いた。突然、塀が途切れた。

「コカナタくん、塀がないよ」

と私が言うのと同時に、コカナタくんが言った。

「正面到着でーす」

みるみる霧が晴れていった。大きく開かれた門の向こうに、空の上ホテルが建っていた。思ってたより、ずっと荘厳な雰囲気だ。回転扉が見える。中は薄暗くてよく見えなかった。

私は奈美ばあちゃんにもらったパンフレットを取り出した。ここに載っている地図で見る限り、定期便がつく第八埠頭からホテルまでは一直線で、迷いそうになかった。

「今は第八埠頭じゃなくて、第八十八埠頭だよ」

「ふうん」

っていうか、埠頭の数、多すぎ。

「コカナタくんも探してね。迷子になってるのは、東条茂人さんっていうおじいちゃんだから」

「うん、わかった」

私たちはホテルの正面からまっすぐにのびた道を歩き始めた。