きみに会える場所~空の上ホテル~

・・・・・・あれ? どこも痛くない。

「・・・・・・いっつもおれの胸に飛び込んでくるのね」

はっと顔を上げると、いかにも楽しそうな茶色い目が私を見つめていた。

前に果樹園で会った謎の人だ。そういえば、まだ名前聞いてない。

「おちおち昼寝もしてられないな」

謎の人は、腕をそっと私の背中に回してにっこり笑った。

「そんなにおれの腕の中、気に入った?」

「え・・・・・・」

私ったら、草の上に寝転んでいたこの人の上に倒れこんじゃってる!

「きゃあ、ごごごごごごめんなさい、おおおおお重いでしょ」

急いでどこうとしたけど、肩にがっちり置かれた手が私を放してくれない。

「こんな泣き顔の女の子をそのまま行かせるなんて、できないね」

男の人の顔が、更に近づいてくる。思わず目をそらした。

じいっと見られてる。こわさと恥ずかしさでどきどきした。

「・・・・・・どうやら、きみを泣かせたのは男だな」

私は伏せていた顔を上げてきいた。

「どうしてわかったの?」

男の人はにやりと笑った。

「そりゃあわかるさ」

「どうして?」

「女の子がそんな風になるまで泣くなんて、原因は男に決まってる」