「美緒、起きなさい、美緒!」

肩を大きく揺さぶられて目を覚ました。

腰に手をあてて私を見下ろしている母さんと目が合った。

「あなた、一体何やってるの」

母さんが心底がっかりした、という声を出した。

「・・・・・・ごめんなさい」

私は身をよじるようにしてうなだれた。

「ちゃんとやっとかないと、後で困るのはあなたなんだから。知らないわよ」

それだけ言うと、母さんは部屋を出て行った。たくさん怒られるのもつらいけど、こんな風に言い捨てられるのもつらいなあ。

チェストの上に、紅茶の入ったカップが置いてあった。

母さんが持ってきてくれたんだ。

私は雑穀パンをかじりながら紅茶を飲んだ。どっちもおいしかった。

時計を見ると午後3時になるところだった。

私は生物のテキストを取り出した。作戦を変えて、眠くなったら別の教科の課題をやることにした。

夕飯だと母さんに呼ばれるまで、黙々と課題をこなした。母さんの捨て台詞で、体のてっぺんからつまさきまで目が覚めた感じだった。少しは遅れを取り戻せたと思う。

今日は気持ちよく眠れるだろう。