きみに会える場所~空の上ホテル~

朝起きたら10時だった。

昨日はうまく眠れなくて寝返りばかりうっていた。

最後に時計を見た時、針は2時をさしてたから8時間眠ったことになる。

……なんだかんだで健康的だなあ。

キッチンのテーブルにメモが置いてあった。母さんの字だ。

「急に予定が入ったので出かけてきます。起きたらちゃんとご飯を食べるのよ。夕方には帰ります」

冷蔵庫をのぞくと、サラダボウルとオレンジがあった。

お湯を沸かして紅茶をいれた。トーストを焼いて食べる。もしゃもしゃとサラダを口に運ぶ。

トースト、サラダ、紅茶、サラダ、トースト、トースト、紅茶。

一人だと食べるのが早くなる。あっという間にデザートのオレンジまで片付けてしまう。

歯を磨いて、食器を洗うと、今日の予定は何もなくなった。

うーん。伸びをして部屋を見回した。

掃除機でもかけようかな。

頭の中でシミュレーションしてみる。

夕方帰ってきた母さんが、部屋がなんとなくきれいなことに気づく。そして私を呼ぶ。

「掃除したの?」

もしかしたら喜んでくれるかも。……でも続きがあるかも。

 「課題は? まだ終わってないの? 掃除なんかしてる暇があったらそっちをやりなさい」

……やっぱり掃除はやめとこう。