きみに会える場所~空の上ホテル~

外へ出たと思ったのに、私はまだホテルの中にいた。

きっと怒ってたから、勢いをつけすぎたんだ。それで、回転扉がそのままくるっと一回転しちゃったんだ。

カウンターの向こうから、さっきの男の人がこっちを見ているのが見えた。



これ以上、馬鹿にされたくない。大丈夫、落ち着いてのんびりいこう。

スーッ、ハーッ。
その場で大きく深呼吸した。

気持ちがすっかり軽くなった。

もう一度、今度は確実に。
私はゆっくりと回転扉に手をかけた。扉は徐々に回っていく。



よし、ここだ。大きく一歩踏み出した。

完璧にうまくいった。



そう思ったのに、次の瞬間、私はやっぱりホテルの中にいた。

???

回転扉をじっと見つめた。
何か、変。絶対、変。

私は何度も何度も回転扉を回したけど、結果は同じだった。

正確には、十五回試して、やめた。

すっかり目が回ってソファにふらふらと腰を下ろした。