きみに会える場所~空の上ホテル~

ドアを閉めるとレイの後ろについて中へ戻った。

レイは立ち止まるとゆり子さんの方を向いた。

「お待たせいたしました、林原様。アフタヌーンティーセットをお持ちしました」

「ありがとう。テーブルの上に置いてちょうだい」

「かしこまりました」

レイは振り返って私を見た。

「お客様、お席の方へどうぞ」

にこやかにさわやかに、誘導するように手を差し出す。

うわ~。さっきまでとは別人だ。

でも、ちょっとぼうっとなってしまう。何か悔しい。

私はレイの前を横切って、そそくさといすに座った。

レイはワゴンを押して私の目の前までやってきた。テーブルにカップやソーサー、ポットを慣れた手つきで並べていく。

私はレイの手がテーブルをととのえていくのをじっと見つめていた。