きみに会える場所~空の上ホテル~

「誰?」
ゆり子さんの問いかけに振り向いて答える。ついつい声が弾んでしまう。

「ボーイさんです」
「お前に言われると何かむかつく」

後ろでボソッとつぶやく声を無視して続ける。

「紅茶とケーキを持って来てくれました」

「入ってもらってちょうだい」

私は廊下に出た。ドアを押さえて道をあける。

「どーぞ」

「こりゃどーも」

ちっとも心のこもっていないお礼の言葉と共に、レイはティーセットを載せたワゴンを押して部屋に入っていった。