男の人はほほえみをうかべたまま、私を見つめていた。
私もうっとりと男の人を見返していた。
男の人が、私の答えを待っているのだとわかるまで、30秒はかかったと思う。
そのことに気づいた時、カーッと頭に血が上るのが自分でもわかった。
「あ、あのっ・・・・・・、すみません。私、ぼーっとしちゃって」
どうしよう。声が震える。
男の人の顔がちょっと曇った。
怒っちゃったのかな、私がのろのろしてたから。そう思ってしゅんとしていると、やわらかい声が降ってきた。
「少し混乱しているんだね。まあ、無理もないよ。・・・・・・大丈夫、君だけじゃないから。名前、思い出すの、ゆっくりでいいからね。ゆっくり思い出していこう」
なんて、やさしい響き。私は思わず顔を上げた。
男の人の顔がすごく近くにあった。彼は、カウンターから身を乗り出すようにして私に話しかけてくれていた。
どぎまぎして、思わず胸に手を当てた。
「だ、大丈夫です。名前は覚えてます。桜木美緒といいます」
「サクラギ・ミオ様ですね。少々お待ち下さい……」
男の人はパソコンのキーをかたかたと押した。
私もうっとりと男の人を見返していた。
男の人が、私の答えを待っているのだとわかるまで、30秒はかかったと思う。
そのことに気づいた時、カーッと頭に血が上るのが自分でもわかった。
「あ、あのっ・・・・・・、すみません。私、ぼーっとしちゃって」
どうしよう。声が震える。
男の人の顔がちょっと曇った。
怒っちゃったのかな、私がのろのろしてたから。そう思ってしゅんとしていると、やわらかい声が降ってきた。
「少し混乱しているんだね。まあ、無理もないよ。・・・・・・大丈夫、君だけじゃないから。名前、思い出すの、ゆっくりでいいからね。ゆっくり思い出していこう」
なんて、やさしい響き。私は思わず顔を上げた。
男の人の顔がすごく近くにあった。彼は、カウンターから身を乗り出すようにして私に話しかけてくれていた。
どぎまぎして、思わず胸に手を当てた。
「だ、大丈夫です。名前は覚えてます。桜木美緒といいます」
「サクラギ・ミオ様ですね。少々お待ち下さい……」
男の人はパソコンのキーをかたかたと押した。

