きみに会える場所~空の上ホテル~

脚立を二段上ると、サキさんのブラはもう目の前だった。

私はそうっと手を伸ばすと、細心の注意を払って黒いブラを枝から外した。

表も裏もじっくりと観察する。よかった。目立ったほつれはないみたい。

安心すると、別のことが気になってきた。

「・・・・・・おっきいな」

それに比べて私ときたら。思わず自分の胸元に目をやり、激しく後悔した。違いすぎる。
というかとても同じものとは思えない。

「いやいやいや」
自分で自分をなぐさめる。サキさんは大人の女性だもの。私もいつかは、きっと、多分、もう少し・・・・・・。でも、いつかって、いつよ? 私、もう17になるんだよ?

風がざざっと吹いた。はっと我に返った。握りしめていたブラをそっと払うと、きちんとたたんだ。

「サキさん、喜んでくれるかな。あ、でも」

どうしよう。このまま渡すわけにはいかないよね。

私はスカートのポケットを探った。

「よかった。入ってた」

ちょっと前からポケットに入れっぱなしにしてたハンカチが出てきた。よれよれだけど、ブラを包むくらいには使えそう。

ハンカチを包装紙代わりにしてブラをラッピングしてしまうと、達成感でいっぱいになった。

「よしっ、よしっ、よしっ!」

脚立の上で握りこぶしを振り上げていると、下から声がかかった。

「楽しそうだね。でも、パンツ見えちゃうよ?」