外へ出るとじんわり汗がにじんだ。
野菜畑の右端まで歩いた。そこから順に探していくことにした。
風で飛ばされたってことは、きっともっと遠くにあるんだろうけど、地道に畝にそって探していこう。
私は葉や茎の間を目を皿のようにして見ながら少しずつ進んでいった。
畝の向こう側まで行くと、次の畝を探しながら折り返して戻ってきた。
「黒いブラ、黒いブラ」
呪文のようにつぶやきながら目をこらす。
「あんた、誰だい?」
突然、すぐ近くから声がして、はっと顔を上げた。すばやく左右を見回す。でも、誰もいない。
「空耳かなあ」
首をかしげながら手元に視線を戻す。ブラがひっかかってるとしたら、根元にはないよね。
私は、真っ赤なトマトを横目で見ながら、重なった葉っぱの間を手で探った。その途端、また同じ声が言った。
「昼間っから野菜泥棒とは、いい度胸だね」
「え? 泥棒? ち、違います!」
ちゃんと説明しなくちゃ。私は声の主を探して、きょときょと視線を動かした。そして、ようやく畝の反対側からのぞくぎょろりとした目に気づいた。
あまりにも近くばかり見ていたから、景色の一部かと思っちゃった。
ぎょろりとした大きな目は私をじいっと見たままだった。
「泥棒じゃないんなら、あんた、何者だい?」
野菜畑の右端まで歩いた。そこから順に探していくことにした。
風で飛ばされたってことは、きっともっと遠くにあるんだろうけど、地道に畝にそって探していこう。
私は葉や茎の間を目を皿のようにして見ながら少しずつ進んでいった。
畝の向こう側まで行くと、次の畝を探しながら折り返して戻ってきた。
「黒いブラ、黒いブラ」
呪文のようにつぶやきながら目をこらす。
「あんた、誰だい?」
突然、すぐ近くから声がして、はっと顔を上げた。すばやく左右を見回す。でも、誰もいない。
「空耳かなあ」
首をかしげながら手元に視線を戻す。ブラがひっかかってるとしたら、根元にはないよね。
私は、真っ赤なトマトを横目で見ながら、重なった葉っぱの間を手で探った。その途端、また同じ声が言った。
「昼間っから野菜泥棒とは、いい度胸だね」
「え? 泥棒? ち、違います!」
ちゃんと説明しなくちゃ。私は声の主を探して、きょときょと視線を動かした。そして、ようやく畝の反対側からのぞくぎょろりとした目に気づいた。
あまりにも近くばかり見ていたから、景色の一部かと思っちゃった。
ぎょろりとした大きな目は私をじいっと見たままだった。
「泥棒じゃないんなら、あんた、何者だい?」

