誰も何も言わないまま、箸だけがすすんだ。

「なあ」

レイがぼそりと言った。サキさんも私もびくりとしたけど、どちらも食べるのをやめない。

レイは私とサキさんの顔を交互に見つめた(んだと思う)。お茶碗をのぞきこむようにして炊き込みご飯を食べていると、レイの視線に焼かれるみたいで、頬がぴりぴりした。

レイが大きくため息をついた。

「なあ、二人とも、こっち見ろって」

恐る恐る顔を上げると、テーブルにひじをついて手を組んだレイが私たちを見つめていた。

「・・・・・・で、今日来る奴がおれの親だってわかったのか?」

まっすぐに据えた視線。この瞳からは誰だって逃れられないと思う。絶対。

サキさんが大きく息を吸い込んだ。

「・・・・・・ええ。美緒ちゃんが調べてくれたの」

レイの瞳が私を捕らえる。私は思わず息を止めた。

怒られるのかな。いろんな言葉でバッサリ斬られるのかな。

レイは何も言わない。私のドキドキは最高潮に達していた。息が苦しい。

突然、レイがぷっと吹き出した。

「すっごい緊張感。お前が固くなってどーすんだよ」

頭にかーっと血が上るのがわかった。

「だっ、だって・・・・・・」

「調べたって、要はカナタのパソコンに入ったってことだろ? ・・・・・・全く油断も隙もねえな。どんな特技だよ」