管理室に入ると、ドアをそっと閉めて、部屋の電気をつけた。

大またに部屋を横切ると、支配人用の椅子に腰掛ける。

天板の端に手をかけて持ち上げ、ノートパソコンを起動する。

二回目だから、とてもスムーズだ。

「パスワードを入力して下さい」

さっきの画面が出てきた。

ノートのさっきのページを広げて、もう一度ヒントを読む。

ヒントその1
パスワードは半角数字4桁

ヒントその2
ここはどこでしょう?

ヒントその2の答えとしてぱっと思い浮かぶのは、管理室。支配人デスク。1階。窓際。空の上ホテル・・・・・・。

でもヒントその1の数字4桁にあてはまらない。

よく推理小説とかで出てくる暗号は、文字を数字に置き換えたりするけど。

でもなあ。・・・・・・カナタさんが、そんなややこしいことするかなあ?

サキさんは、カナタさんがいればこのパソコンを起動して、すぐに水城さんのことを調べてくれるのにって言ってた。

私も、カナタさんなら、そうしてくれると思う。それでレイの暴走が止まるのなら。

だから、カナタさんはあまり凝ったパスワードをつけたりしないんじゃないかな。

もし元々ついているものがあるとすれば、自分用に変更したりしないで、結構そのまま使ってるかもしれない。

元々ついているとしたら、一番可能性があるのは・・・・・・。

私は「1111」と入力してEnterキーを押した。

「パスワードを入力して下さい」

画面にまた元のメッセージが現れた。やっぱりダメかあ。

私はそれでもダメで元々、と揃いの数字を立て続けに入力した。

2222、3333、4444、5555、6666、7777、8888、9999、0000。

残念ながらどれも違った。7777はもしかしたらと思ったんだけど。

やっぱりヒントその2も重要なんだな。

「『ここはどこでしょう?』って言われても・・・・・・」

試しに0001を入力する。ここは1階には違いないから。恐る恐るEnterキーを押す。

「パスワードを入力して下さい」

・・・・・・ダメだ。やっぱり4桁の数字じゃないと。