きみに会える場所~空の上ホテル~

コンコン。ノックの音が聞こえたかと思うと、さっきのお姉さんーサキさんが顔をのぞかせた。

「あ、いたいた」

サキさんはするりと入ってきてベッドの縁に腰掛けた。はあ。やっぱりきれいだな。

「傷、平気?」

私は小さくうなずいた。
「全然たいしたことないんです。運んでもらっちゃって、かえって悪かったかも」

サキさんは、笑って手を振った。
「そんなの、気にしないでいいよ。従業員はお客様に喜んでもらうのが仕事みたいなもんだから。あ、でも、美緒ちゃんはお客さんじゃなかったっけ」

「なんで・・・・・・あ、そうか。聞いたんですね、レイ・・・・・・さんに」

呼び捨てしちゃいけない気がして、思わず「さん」づけしちゃった。

サキさんはあっさり言った。
「レイでいいよ、レイで」

うわあ、レイ、なんかバッサリやられてる感じ。でもそれだけ二人が親密だってことなんだろうな。

「・・・・・・でも、なんで美緒ちゃんはここに来ちゃったんだろうね?」

頬に手をあててサキさんが考え込んでいる。

「あたし、ここに随分長くいるけど、予約なしで来たのは、美緒ちゃんが初めてよ」

今こそ、私の推理を試す時がきた。思い切って言ってみる。
「ねえ、サキさん」

サキさんが首をかしげて私を見る。

「何か困っていることはありませんか?」