きみに会える場所~空の上ホテル~

私がレイの立場に置かれたとしたら、お父さんに会っておきたいけどな。

それも、もう亡くなって、今ここでしか会えないっていうのなら、尚のこと会っておきたい。

まあそれもこれも、水城さんがレイのお父さんだと仮定しての話なんだけど。

・・・・・・ああ、やっぱり気になる。水城さんがレイのお父さんかどうなのか。

・・・・・・支配人専用のパソコンって、確か管理室に置いてあるんだっけ。

私はサキさんの話を思い出して、視線を動かした。

それらしいものは見当たらない。

でもサキさんは不確かなことを言ったりはしない。もしかしたら、支配人専用だから、どこかにこっそり隠してあるのかも。

私は椅子から立ち上がると、いろいろな書類が入っている本棚を見たり、キャビネットを開けたりしてさりげなくパソコンを探した。

あと探してないのは、窓際にどーんと置いてある一際大きくて立派な机の中だけだ。

私はそろそろと机の前に移動した。革張りのいかにも高級そうな椅子が置いてある。

椅子をどけると、机の引き出しを順に開けていった。もしかしたら、ノートパソコンかもしれないし。

どきどきしながら引き出しを開けたけど、結局パソコンは見つからなかった。

私はがっかりして椅子を元に戻した。



・・・・・・あれ?

私は机の天板をじっくりと眺めた。よく見ると黒い筋がコの字型に入っている。

こんなの入ってたら、紙に書く時、邪魔になるよね。

私は学校の机を思い出していた。前に使っていた誰かが文字を天板に掘り込んでて、テストの時はすごく気になった。

急いでいる時に限って、鉛筆を走らせていると、突然鉛筆が答案用紙を突き破ってしまうのだ。その掘り込みがあるせいで。

何でこんな立派な机に掘り込みが?

私は広い天板に入ったコの字型の筋を指ですーっとなぞった。