きみに会える場所~空の上ホテル~

「何かレイは一人で暴走しちゃってるけど、この画面からだけじゃほんとの所はわからないのよね。全くこんな時に限って、カナタってばいないんだから」

サキさんはいらいらと爪をかんだ。私はなおも尋ねた。

「カナタさんがいれば、この人がレイのお父さんかどうかわかるの?」

「というか、管理室の支配人専用のパソコンが見られればね。だけど閲覧に必要なパスワードを知ってるのは、カナタだけ」

パスワード・・・・・・。

「個人情報の保護ってことで、詳細な記録は全部そのパソコンの中なの。ほら、ここ見て」

サキさんはフロントのパソコンの画面を指差した。

「この家族構成ってとこ、子供なしになってるけど、印がついてるでしょう?」

私は大きくうなずいた。※のマークだ。

「このマークは詳しい説明が別にあるってことなの」

どきどきしてきた。詳しい説明。それが読めれば真実がわかる。

「それって支配人専用のパソコンの中だけに入ってるの?」

「そうよ。・・・・・・ああ、パスワードさえわかればねえ。だけどカナタは出張で連絡は取れないし」

こんな一大事の時に、どうしてカナタさん、いないのかな。

申し訳ないんだけど何か腹が立ってきた。

「出張って、カナタさん、一体どこへ行ったの?」

「向こうの世界。あ、美緒ちゃんにとっては現実の世界か」

「何しに行ったか聞いてもいい?」

サキさんはあっさりと言った。

「別にいいわよ。秘密にするほどのことでもないし。ヘルプに来てくれそうな人を探しに行ったの」

「ヘルプ?」

疲れのにじんだサキさんの顔が、久しぶりにふっと緩んだ。

「美緒ちゃんだって、カナタが見つけてきたのよ」