きみに会える場所~空の上ホテル~

それからはあわただしかった。

夕食を飲み込むようにして食べると、倉庫から新しい制服を取ってきた。

私はフロントの黒いスーツ、サキさんは白いコックコート、レイは荷物係の緑の制服だ。

一度きちんと袖を通して、鏡に映る姿をチェックした。スーツとよく合う黒い靴もはいた。かかとの高い靴は初めてだからとても歩きにくい。

服装だけは大人だけど、その上についてる顔が子供っぽいから学芸会みたいで、我ながらへこんだ。

鏡の中からサキさんが見つめ返している。

「フロントに立つ時はメイクしてね」

私は恐る恐る告げた。

「したことないんです、メイク」

サキさんは眉間にちょっとしわを寄せた。

「じゃあメイク道具も?」

「持ってません」

サキさんはため息をついた。

「明日は私のを貸すわ。今日のうちに買っておいてね。でもまずその前に、フロントで業務の説明をしましょうか」

いつもより少しだけサキさんが厳しい。

それはそうだろうな。目の前にいる素人にフロントを任せなくちゃいけないんだもの。

少しでもサキさんを安心させられるように頑張らなくちゃ。