きみに会える場所~空の上ホテル~

どうするって言われても・・・・・・。レイの頼みならきいてあげたい。

「もしレイに仕事を譲るのなら、必然的に美緒ちゃんがフロントってことになるけど」

「ええっ?!」

「コックはまだ無理でしょ」

「無理です」

私は自分の作った酢100%の酢の物を思い出して強くうなずいた。

「どうする? やめとく? レイが勝手に言ってることなんだから、断ってもいいのよ」

私はサキさんとレイを交互に見た。

フロント・・・・・・。ホテルの顔、だよね。

レイが最初に私を迎えてくれた時みたいに、できるんだろうか。

・・・・・・だけど、やらなきゃ。私が断ったら、レイはどうすればいいの。

私は深く息を吸い込んだ。

「フロントをやります」

サキさんの顔には「やっぱり」って書いてあった。

「大丈夫なの? 出来るの?」

私は重々しくうなずいた。人生が終わった人たちと最初に接するとても大事な仕事だ。

考えただけで責任の重さにお腹が痛くなる。

だけど、きちんとやらなくちゃ。それしかない。

サキさんはうーんとうなった。

「まあ、美緒ちゃんが出来るっていうんだから、フロントはこの際美緒ちゃんにお願いするしかないわね。あたしはコックにまわるわ」

サキさんがレイをじろりとにらんだ。

「あんたには明日から掃除と洗濯と洗い物と荷物係、きっちりやってもらうわよ。他の雑用もね。あーあ、カナタに何て言えばいいのよ」

レイがぼそりと言った。

「すまん」