きみに会える場所~空の上ホテル~

途端に、ぱしっと勢いよく肩をたたかれた。

「やだ、美緒ちゃんてば」

サキさんがきゃはきゃはと笑った。・・・・・・意外だな。サキさん、案外豪快なんだ。長い時間一緒にいなかったら、わかんなかったな。

私はサキさんの一撃にひるむことなく言い添えた。

「サキさんも、カナタさんも、レイも、ここにいる人はみんなきらきらしてる。みんな、すごく素敵。三人が街を歩いたら、きっとみんなが振り返るよ」

サキさんはうーん、とうなった。

「でもねえ。レイはともかくとして、あたしもカナタも姿かたちはどうにでもなるから」

はい?

私は目をぱちくりした。

「例えばこんな風に」

サキさんは背中を丸めるとぐぐっと肩に力を入れた。

ばさっ。

瞬間的に、サキさんの背中に白い翼が生えた。

て、天使・・・・・・?! 似合いすぎる。

思わずうっとりと見つめてしまった。

「それとか、こんな感じ?」

すっと翼が引っ込んで、サキさんの背が低くなった。と思ったら、腰から下が魚になってた。

に、人魚だ・・・・・・。美しい。

これまたうっとりと見つめる。

サキさんの背がだんだん高くなってく。

と思ったら、元のサキさんに戻ってた。

「ついついきれい系を選んじゃうとこが、女の性かしら」

サキさんはふふっと笑った。

「とにかく自由自在に姿は変わるの。だからあたしは素敵でも何でもないのよ」

私はほほえんでサキさんを見ていた。

でも私はサキさんはやっぱり素敵だと思う。だって、外見だけを見てそう思うわけじゃないんだもの。