きみに会える場所~空の上ホテル~

「レ、レイ!? いつからいたの?」

私はどぎまぎして言った。

「いつからって、お前が妙な接客し出した辺りから?」

ぐっ。相変わらずきつい。でもレイが普通に話してくれてうれしいかも。

私の中では、既にこの毒舌がレイの標準になっちゃってるんだなあ。

・・・・・・この毒舌を喜ぶ私ってマゾ?! ・・・・・・違うと思いたい。

レイは腕組みをして私を見下ろしている。とても威圧的だ。

「お前さあ、『あ、では佐藤様、連絡を取りますのでちょっと待って下さい』は、ないだろ」

「な、何か問題でも?」

レイはここぞとばかりにまくしたてた。何かうれしそうに見えるのは、私だけ?

「まず『あ』が余計。『連絡を取ります』って何だよえらそうに。『お取りします』だろうが。『ちょっと』は『少々』、『待って下さい』は『お待ちいただけますか』とかあるだろ普通」

う、うわー。確かにその通り。でもね、私はフロントじゃないし、接客だってやったことないんだよ。

って思ったけど、言うのはやめておいた。

だって、多分「そんなのお客様に関係ないだろ」って言われるし、それはその通りだから。

まだまだ全然ダメだな、私。

情けなくて、でもダメ出しをしてくれたのがうれしくて、ふっと笑いがもれた。

「何だよ、何かおかしいか」

「ううん。そうじゃなくてうれしいの」

「何が」

「レイが怒ってないのが。今朝のことひきずってないのが」

「あれは、別に・・・・・・」

あれ? レイにしては珍しく歯切れが悪い。

「別に何?」

言いたくなさそうに、ぼそりとつぶやく。

「別に怒ってたわけじゃない」

「そうなの?」

よくわかんないけど、怒ってないなら、よかったなあ。

ほっとしてレイに微笑みかけたけど、レイは目をそらした。

「それよりか、明日来るお客様の情報を知りたいんだけど」