洗い物を終えると、部屋に戻った。
歯磨きをしながら鏡を見ていた。何となく唇に目が行った。
さっきのレイの態度を思い出したら、また涙が目の縁に盛り上がってきてぼたぼたと落ちた。
一人で部屋にいると、抑えがきかない。鼻の奥がつんとしてきて、げほげほとむせた。
鏡に映った私の顔は、涙と歯磨きと鼻水でひどい有様だ。
猛スピードで歯を磨くと、うがいをして顔を洗った。
どうしてレイは私にキスしたのか。
昨日の夜さんざん考えたけど、結局よくわからなかった。
一時の気の迷い。
怒りにまかせた衝動。
寝顔を見られて恥ずかしかったから腹いせに。
頭に浮かぶのは、どれもこれも私にとってはうれしくない理由ばかり。
でもそれくらいしか思いつかない。
どんな顔してレイを見たらいいのか、よくわからない。
というよりは、レイが私のことを思いっきり拒否してる顔を見るかもしれないと思うと、こわくてレイを見られない。
私がレイと接近遭遇するのは、料理教室がお休みになったから食事の時だけ。悲しいけど少しほっとしてる。
食事の席には、カナタさんやサキさんもいる。何とか普通でいられる気がする。
レイと二人っきりの時にさっきみたいに冷ややかな態度を取られたら、泣かずにいる自信がない。
前の私は、こんなじゃなかった。クラスメートに冷たくされても、ちょっと悲しいなって思うだけだった。泣くなんて、とんでもない。
私、レイに出会ってから、感情の幅が広がったみたい。
寝顔を見ていた時は、「好き」っていう感情がどんどんあふれ出してきた。このままずっとこの人の顔をみながら髪をそっとなでていたいって思った。
知らない誰かとキスしてるのを見た時は、どろっとしたすごく嫌な気持ちになった。悲しいけど同時に怒ってるみたいな気持ち。
料理教室を休みにする理由をカナタさんに尋ねられたレイが、「なんででも」って答えた時に感じた悲しい気持ち。胸の奥が本当に痛くなった。
私、今までこんな風に誰かのことを考え続けたことってなかった。家族のこともクラスメートのことも。
今まで特に何とも思ってこなかったけど、それはあまりいいことじゃなかったのかもしれない。
歯磨きをしながら鏡を見ていた。何となく唇に目が行った。
さっきのレイの態度を思い出したら、また涙が目の縁に盛り上がってきてぼたぼたと落ちた。
一人で部屋にいると、抑えがきかない。鼻の奥がつんとしてきて、げほげほとむせた。
鏡に映った私の顔は、涙と歯磨きと鼻水でひどい有様だ。
猛スピードで歯を磨くと、うがいをして顔を洗った。
どうしてレイは私にキスしたのか。
昨日の夜さんざん考えたけど、結局よくわからなかった。
一時の気の迷い。
怒りにまかせた衝動。
寝顔を見られて恥ずかしかったから腹いせに。
頭に浮かぶのは、どれもこれも私にとってはうれしくない理由ばかり。
でもそれくらいしか思いつかない。
どんな顔してレイを見たらいいのか、よくわからない。
というよりは、レイが私のことを思いっきり拒否してる顔を見るかもしれないと思うと、こわくてレイを見られない。
私がレイと接近遭遇するのは、料理教室がお休みになったから食事の時だけ。悲しいけど少しほっとしてる。
食事の席には、カナタさんやサキさんもいる。何とか普通でいられる気がする。
レイと二人っきりの時にさっきみたいに冷ややかな態度を取られたら、泣かずにいる自信がない。
前の私は、こんなじゃなかった。クラスメートに冷たくされても、ちょっと悲しいなって思うだけだった。泣くなんて、とんでもない。
私、レイに出会ってから、感情の幅が広がったみたい。
寝顔を見ていた時は、「好き」っていう感情がどんどんあふれ出してきた。このままずっとこの人の顔をみながら髪をそっとなでていたいって思った。
知らない誰かとキスしてるのを見た時は、どろっとしたすごく嫌な気持ちになった。悲しいけど同時に怒ってるみたいな気持ち。
料理教室を休みにする理由をカナタさんに尋ねられたレイが、「なんででも」って答えた時に感じた悲しい気持ち。胸の奥が本当に痛くなった。
私、今までこんな風に誰かのことを考え続けたことってなかった。家族のこともクラスメートのことも。
今まで特に何とも思ってこなかったけど、それはあまりいいことじゃなかったのかもしれない。

