きみに会える場所~空の上ホテル~

自分の部屋に戻ってぼーっとしていると、ノックの音が聞こえた。

ドアをほんの少し開けて外をのぞいた。サキさんが立っていた。

「これ使って」

サキさんが手渡してくれたのは、新品の下着とシャツと靴下だった。

「ありがとう」

私はケースに入った下着を見てほっとした。よかった。白だ。

でもサイズが合うかちょっと心配・・・・・・。

「必要な物は管理室のパソコンで注文しておくといいわ。明日には届くから。使い方は管理室のマニュアルを読んでね」

わたしはこくりとうなずいた。パソコンは学校の授業で何度か触ったことがある。多分何とかなるだろう。

「それからこれも読んでおいてね」

サキさんから分厚いノートを渡された。芥子色の表紙には「空の上ホテルの全て」と書いてあった。

ぱらぱらとめくってみる。

「フロント業務について」
「掃除の仕方」
「野菜畑の上手な利用法」

丁寧な字で、びっしりと書かれている。

「これ、サキさんが書いたの?」

「違う違う。カナタよ」

「カナタさん?!」

「こういうの、マメなのよねー」