きみに会える場所~空の上ホテル~

今、レイは確かに「そうしてほしそうだったから」って言った。

そうしてほしそうだったから。だからキスした。

・・・・・・一番聞きたくなかった言葉かも。


私はレイから目をそらした。何かふつふつと怒りがわいてきた。

「そうしてほしそうだったから? 何それ」

平べったい自分の声が響いた。ものすごくかっかしてる自分と、こんな声が出せるなんて思ってもみなかったと冷静に考えている自分がいた。

「何でお前が怒るんだよ」

「好きでもないのに相手がキスしてほしそうならするんだ。・・・・・・何様のつもり?!」


どうしてキスなんてするの。キスの相手が彼女で、相思相愛なら仕方ないと思う。そりゃつらいけど、レイが好きならどうしようもない。悲しいけどあきらめる。



だけどキスしてほしそうだったからしたなんてひどいじゃない。そんな理由でキスしないでよ。そんな理由で、私の目の前で誰かにキスしたりしないでよ。


自分の中にわいてきた激しい感情にくらくらした。調理台に手をついてレイをぐっとにらんだ。