きみに会える場所~空の上ホテル~

チャンスは、意外とすぐにやってきた。

食事当番のサキさんが作ってくれたおいしい夕食を食べ終わって、洗い物を片付けていると、調理室にレイがやってきた。

「ど、どうしたの?」

まだ緊張が抜けない。考えてみたら、あの現場を目撃してからまともに話をしていない。

「料理の仕込み。明日来るお客さんは二日目のカレーが食べたいらしい」

かごをどさりと調理台の上に置く。まだ土がついているにんじんやじゃがいもが山積みだ。

「洗い物はもう終わるから、こっち使ってね」

「ああ。サンキュー」

私は洗い終わった食器の入ったかごを調理台へ移動させた。手をタオルで拭くと、スポンジをふきんに持ちかえた。

最後にお湯をかけた食器は、まだ熱かった。この熱湯で消毒する方法も、サキさんが教えてくれた。

私と入れ替わりで、レイが野菜を流しへ持って行った。

調理室には私とレイの二人っきり。今しかない。

私は大きく深呼吸した。落ち着いて。「最悪の状況=キスしてた彼女と周囲も認めるラブラブカップル」ではないことは、もうわかってるんだから。

大丈夫。普通に話そう。

もう一度タオルで手を拭くと、お皿を手に取った。ふきんでささっと拭いては積み重ねていく。

「あの、・・・・・・レイ?」

「あ?」

レイは振り向かずにがしがしと野菜をこすり洗いしている。