きみに会える場所~空の上ホテル~

私は絨毯の上にぺたりと座り込んでいた。

すりむいたひざがじんじんする。

それ以上に、胸がどきどきしてる。

何だかとても不思議なことが、起こってるみたい。

落ち着いて、整理して考えてみよう。

スーッ、ハーッ。スーッ、ハーッ。

大きく深呼吸をした。


亡くなった人が訪れるこのホテルはどこかに存在していて、私はこのホテルにやって来た。別に来たくて来たわけじゃない、と思う。

そして、帰ろうと思ってもホテルから出られない。

・・・・・・。

「あ! そうか!」

きっと、誰かが私をここへ呼んだんだ。うん、きっとそうだ。

現実の世界に住んでいた主人公が、異世界に飛ばされて、そこでその世界を救ったりするお話やゲームをたくさん知ってる。

私も、きっとそうなんだ。この世界っていうかホテルに、私を必要としている人がいるんだ。

・・・・・・まあ、さっきのぶっきらぼうな男じゃないことは確かだけど。


このホテルのどこかに、私を必要としてる人がいる。誰かが私を待っている。

そう思ったら、元気が出てきた。

「どうしたの、大丈夫?」

顔を上げると、深緑色の制服をきた女の人が心配そうに私を見つめていた。