きみに会える場所~空の上ホテル~

男の人が、きっぱりと告げた。

「確かにここは死者が訪れるホテルだ。人々が死を受け入れて旅立っていくための準備をするための場所だ」

「やっぱり」

「だけどお前の名前は予約者名簿に載ってない」

「・・・・・・どういうこと?」


男の人の口がへの字に曲がった。
「おれが知るかよ。名簿に名前のない客の相手なんかしてる暇ねえんだ。とっとと元いた所へ帰れよ。何トロトロしてんだ」

「あんたに言われなくたって、帰るわよ」

私はくるりと背を向けた。

悔しいような腹が立つような、泣きたいような複雑な気持ちが湧き上がってきた。

やっぱり悪夢だ。絶対そうだ。

じんわり涙が出てきた。うつむき加減で回転扉のある方へ歩いた。

カツカツカツカツ、ドターン。

絨毯に足をとられて、思い切り転んだ。

「いっ・・・・・・!」

痛いのをがまんして足をさすった。
ひざ小僧をすりむいたのなんて、何年ぶりだろ。



あれ? 痛い?

夢の中で、痛みって感じるんだっけ?

・・・・・・いや、感じないよね、多分。

だって、

男:「宝くじで1等が当たった! 夢とちゃうやろか」
女:「ほんなら、ほっぺたつねったろか。どや?」
男:「いて、いててて。やっぱり夢とちゃうわ。現実や!」
男&女「ばんざーい!」

みたいな会話、ドラマとかでよくあるもん。


ということは、・・・・・・これは夢じゃないってこと!?