たった一人の王子様



「聖夏、案内してやってくれ。あと、王冠くんの教科書はまだ届いてないから見せてやれ。」
その笑顔やめて。
汚くみえるから。



「わかりました。では失礼します。」
私は微笑みながらお父様のあの憎たらしい笑顔を睨んだ。



笑わないでよ。
心は冷たいやつが。
金にしか興味がない奴が。



「おい」
「はい!?」


…あ。
案内すんの忘れてた。


「案内、わ?」
「すいません。」

あんなやつのこと考えてたからだ。