勇者34歳

「とりま、行きましょうかぽこさん。」

リーヴェがそう言って
俺を連れ出す。

時間を少し過ぎていたから
店主に睨まれた。



特に会話もなく
黙々と歩く俺とリーヴェ。

なんとなく気まずくなってきた。

「…で、飛行車なんですけどね。」

突然、リーヴェに話しかけられた。

前置きとか無いのか?
いきなり用件からか?

「うちらの共通項ってイルルしかないし。」

認めちゃうのか、そこ。

「勇者は、ちゃんと平和さえ獲れれば一生働かなくていいっしょ?」

そうかもしれないけど
今まで誰も成功してないんだってば!

「イルルという共通項があるならついてかなきゃ損でしょ。」

オマエは俺が成功する前提で話すんだな。

「失敗するつもりで旅立ったヤツもいないんじゃ?」

…そりゃ俺も死にたくないしな。
で、飛行車がなんだっけ?

「加工屋がちょっとがんばったんで部品はもうできたよ。」

えっ?!

「で、次は八百屋なんだよね。」

八百屋を1日ヤメロとは言えないしなぁ…。

「条件付きで明日中に仕上げてくれるって。」

ナンダッテー?!