勇者34歳

「刀って戦闘の終盤では鈍器みたいなもんになるって聞いたことあるで?」

どうでもいい雑学を知ってる魔族だな。

イルルの顔を見ると
思いっきり狼狽している。

おいおい!
それ、顔に出しちゃダメだろ?!

これは
どうやったら楽に収拾つけられるんだ?
やっぱり皆殺しなのか?

表情には出さないように
次の言葉を考えてると

「世の中には催涙ガスだの麻痺眠りガスだの色々あってだな…、」

リーヴェがニヤニヤしながら魔族のボスに話しかける。

「殺すつもりなら最初から殺してるし。」



魔族のボスの顔色が蒼白になる。

「…当代の勇者は魔族もびっくりするくらいの卑怯者やな。」

ちょ、おま!
卑怯なのは俺じゃなくて
そこのイルルとリーヴェなんだが!?