「リーヴェ、寝相悪っ!」

俺がリーヴェを退かそうとしていると

「起きろコラ!」

イルルに布団をはがされた。

イルルの丸い目がまんまるになり

「これがオタノシミチュウってやつか?」

「違うから!」

リーヴェをぶっ飛ばして起きる俺。

「んで、ぽこぽん。」

否定した事実はイルルにとって
どうでもよかったらしく
何も見なかったかのような顔で話を続けられた。

「素材を加工屋に持っていかないといつまで経っても飛行車に乗れないと思うわけだが。」

おっしゃるとおりです、イルルさん。

「ぽこぽんとリーヴェで行ってきたらいいんじゃないか?」

俺は非難するような目でイルルを見つめた。

「だってオカンが看病汁ってうるさいし。」

ツキヨさん、筋肉痛は病気ですか…?

「じゃあそーゆーことで。」

イルルは黒い鉱物が入った袋で
リーヴェを殴り起こすと
リーヴェの目の前に袋を置いた。
そして、面倒そうに宿屋を出ていった。

「痛い痛い……痛いし…。」

リーヴェが目を覚ました。

寝起きが悪いと
布団をはがれたり
何かで殴られたりするのか?

魔王よりも厄介な敵が
身近に潜んでいる気がしたが
イルルの前では絶対に言えない。

俺は
エクトプラズムが中程度混入したため息をつくと
しぶしぶ起きて加工屋に行くことにした。