「イルル、そろそろボスを離さないと!」

町まで連れていってしまうのは
さすがにヤバイと思った。

「わかった。鉱山から離れろ。」

イルルが言うとおりに鉱山から離れる。

「3……2……1……」

ゼロを発音するのと同時に
イルルは美形の魔族を蹴り飛ばした。

「ぐあっ」

蛙が潰れたような声で
鉱山の入り口に転がる魔族。

「帰るぞっ!」

イルルはそう叫ぶと
ツキヨさんの手を掴み走り出した。

「走るんだよ?!」

イルルに叱咤され、
俺とリーヴェも仕方なく走り出す。

鉱山は徐々に見えなくなっていったが、
イルルがツキヨさんを
ほぼ引きずっている姿はシュールだった…。