勇者34歳

でも、目の前の驚異が去ったなら。

「イルル!ラウザ!」

俺は、ラウザに駆け寄った。

ナターシャさんも走ってきてくれた。
ナターシャさんが、
18歳くらいの外見年齢になっていることに気づく。

レグナくんの翼は、綺麗に回復している。

「うっ…げほっ、ごほっ…。」

子供が咳き込む声がする。

イルルが生きていることがわかって
安心したけど、
それは、イルルの姿を見たら、
驚きすぎて、声が、出ない。

イルルは5歳くらいの大きさだったが、
全身が、血に染まっていた。

一瞬、イルルが助からないのかと思って
動揺するが、ラウザの血だと気づく。

「え?あれ?」

イルルは状況を把握できていない。

「ら、ラウザ?」

ラウザは、かろうじて、息をしている程度。
致命傷だった。

「ラウザ、話さないで。」

ナターシャさんはぴしゃりと
そう言うと、治癒を始めようとした。