勇者34歳

イルルは、指示に従おうとした。

しかし、イルルの滅魔術が未熟なのか、
そもそも傲慢のサキ自体が
人間に御せる存在ではないのか、
イルルの束縛は緩みそうになった。

それを見たイルルは、
慌ててその場に座りこみ、
ひたすら精神を集中する。

「イルル!離れろ!」

ラウザが叫ぶ。
滅魔術が1回発動して、
傲慢のサキの、片翼が闇になって溶ける。

「動いたら…術が維持できないっ…。」

「無理だ!そもそも、これは七罪の傲慢なんだ!遅かれ早かれ術は解ける!」

ラウザの滅魔術がまた、発動する。
傲慢のサキの、足首が闇になって溶ける。

俺は傲慢のサキの頭に狙いを定め、
引き金を引く。

生かしたまま
どうにかできる相手ではない。
ここまで追い詰めたなら、
殺し切らないと禍根を残すどころじゃ、
すまなくなる。

その瞬間、傲慢のサキは
残った片腕が自由に動くようになり、
イルルの足首を掴む。

「じゃあ、わたしは、あなたが二度と地面の味をわかることもないように、わたしの糧にしてあげる。」

「イルルっ!」

イルルは少年から、子供へと変わっていく。
時間を奪われている!

「くそっ…。」

イルルの集中力があっさり切れる。

とはいえ、傲慢のサキも、
もう動ける身体じゃないはずだが、
消したはずの腕や脚に闇が集まり、
徐々に腕と脚を取り戻していく。