勇者34歳

「ホントにてめーは心が弱いな。てめーのそういうところ、大っ嫌いだ。」

聞き覚えのある声が聞こえた。
うんざりして、面倒くさそうな声。

同時に、俺の仲間の
誰もが待ち望んでいた声だった。

「「イルル!」」
「おせーよ。」

リーヴェが愚痴を垂れる。

イルルは滅魔術の七色の紐を使って、
レグナくんをぐるぐる巻きにして
空中に浮かせている。

同時に、七色の光で燃えた翼が覆われる。
炎を消すつもりらしい。

「痛いかもだが骨が残ってないとナタも治せないからな。」

レグナくんは
普段あんなにイルルと喧嘩しているのに
今はおとなしい。

今は仲裁する元気がないから
そのまま喧嘩しない程度には
仲良くなってほしい…。

それも、この後があったらだけど。

「この色魔、俺がいない間好き放題やってくれたようだな!」

レグナくんを宙に浮かせたまま、
イルルはナターシャさんに
切りかかり続ける剣を打ち払う。

「こんな傷、人間の生命力を吸えばどうとでも!」

傲慢のサキの体力が回復する覚悟をした。

しかし、傲慢のサキの体力は回復しない。

その場にいる全員が、
何が起こっているのかわからない。

傲慢のサキでさえ。