勇者34歳

「JJさん、イルルさんを呼んできてください!」

レグナくんは
怪我が治ったばかりの羽で
不規則に飛び回り
光の矢を放ちながら叫ぶ。

そういえばJJは、争い事には慣れていない。
避難させていなかった。

JJがイルル(増援)を呼ぶのを
コイツは見逃してくれるのか?

「誰を呼んでも変わらないと思うけど?好きにすれば?」

傲慢のサキは俺の予想に反して
あっさりとJJを見逃した。

レグナくんは不規則に飛び回りながら
傲慢のサキの注意をひきつけている。

「ぽこぽんさん、僕のポケットから魔符を3枚とって。」

ラウザが俺を背にかばいながら
指示を出した。
ラウザは両手に刀を持っているので
自分では取り出せなさそうだ。

俺は意図を確認する暇はないと思って
ラウザの後ろのポケットから魔符を取り出す。

「取ったぞ。」

ラウザは早口でぼそぼそとつぶやく。

詠唱か?

ラウザがつぶやき終わると
俺の体の周りに白い光が舞い始める。

「リーヴェ、鳥籠!」

ナターシャさんが声を張り上げる。

リーヴェは詠唱をやめないが、
ナターシャさんにうなずいている。

もう詠唱中ってことか。

「鳥籠出たら、とっておきで!」

ナターシャさんはレグナくんにも指示を出す。

「リーヴェ、あと何分かかるの?!」

ナターシャさんがリーヴェに確認している。
リーヴェは両手の指を全部広げた。

「10分ももたせろと?」

俺が嫌な顔をしていると、
ラウザがまた、早口で詠唱を始める。
詠唱が終わると、ラウザは、
俺に何をしたのか説明してくれた。

「バリアはった。3回までなら攻撃を無効にできる。あと、弾丸に聖族属性付与。」

「お、おう。」

「もう動けるでしょ。」

そう言うと、ラウザは傲慢のサキに斬りかかる。

が、傲慢のサキは詠唱もなしに
どこからか剣を呼び出して
空中に浮かせている。

その剣がラウザの刀を弾いた。

刃物と刃物がぶつかる音が辺りに響き渡った。

が、ラウザは弾かれた勢いで後ろへ跳躍し
また傲慢のサキに斬りかかる。

「剣が2本しか出ないと思ってる?」

傲慢のサキは不敵に笑う。
しかし、次の瞬間、
バカにしたような表情になった。

「わたしの魔力の供給源が、何なのかわかっていないようね。」