俺はイルルを宿屋に置いて、
JJに先導されて学園の裏手まで歩いてきた。

イルルなら、大丈夫だ。
いつだってそうだった。
だからイルルの心配はしていない。

そもそも、俺がイルルを心配するとか、
おこがましい、というか、なんというか。

威張れることではないが、
イルルは
暴力沙汰で負けたことはなかったと思う。

何故か、俺のおでこのアザがチリチリと痛む。
痛みは気になるけど
それに構っている余裕はなかった。

別に追われてるわけじゃないし。…多分。

ナターシャさんと、ラウザは
イルルを置いてきたことを
心配しているようで、
暫くはチラチラと宿屋のほうを見ていた。

「魔族は、人間とは違う生き物だし…。イルルは、大丈夫かしら…?」

そう言われるとすごく心配になってきた。

でも、イルルの様子を見に行くことなんて
できなくなるようなことが起こった。