「七罪?」

俺はラウザに、聞き返す。

「魔族狩りの世界で、最強の7人、らしい。」

「強欲、傲慢、憤怒、怠惰、嫉妬、色欲、暴食?」

イルルが7つ答える。

「せやな。」

あれ?なんか、聞こえちゃいけない声が
聞こえた気がするんだけども…。

声の発生源…壊れたベランダのほう…を見る。

「よっ!」

「「ぎゃーーーーーっ!」」

俺とイルルは喉が壊れるかと思うほどの
絶叫をあげた。

そこには、全裸で更に血塗れの
美形の魔族が何事もなかったかのような表情で
立っていた。

「おま、捕まったはずじゃ…?」

「ここの宿泊客の知り合いやて言うたら普通に解放してくれたけど?」

なんてことをーーーッ?!

なんで素っ裸なのかとか
問い詰められなかったのか?

十中八九、ベランダ壊したのは
俺たちってことになっちゃわない?

色んな考えが頭のなかを
光の速さでグルグル回る。

「ちょっとベランダで裸踊りしてたってことにしたんや。」

どこの誰がそんなことするんだよ!

「それに、実際に破壊したんは、そこの魔族狩りやろ?」

魔族は、ニヤニヤしながらそう言う。

ぐぅの音も出ないほどの正論だ。

「ワイに罪を擦り付けるなんて、酷いやん?悪いことはできへんなぁ、勇者?」

…くっそー。

ここの宿屋の修理費用、どうなるんだろう…。