勇者34歳

なんとなく、寂しくなった空気に
その場にいた全員が黙りこむ。

ラウザさえも空気を読んだようだ。

この空気を変えるにはどうすれば?

「とりあえず、持ち寄った情報を基にして簡単な作戦を立てるかのぅ。」

ナターシャさんが、静かに言う。

「とりあえず、行方不明になってるのは魔力が高い学生のようじゃな。」

作戦会議を始めると
廊下のほうでバタバタと
激しいながらも静かな足音が聞こえる。

魔族狩りが来て、
変態魔族が来て、
次は、忍者でも来るのか?

「ぽこさんっ!」

ノックもせずに扉を開けたのは、JJだった。
マナーがなってないって、
ナターシャさんに怒られるぞ…。

と思いながら、JJと目が合う。

「無事でしたか…。」

「俺はな。」

どうやら心配して来てくれたらしい。

「何も言わずに帰るなんてひどいじゃないすか。学校をひたすら探してたら、この宿屋のベランダが崩れたって聞いて…。」

そういえば、JJがどこにいるかわからなかったし、
待ち合わせもしていなかった。

「方向音痴のぽこさんを一人で帰らせるわけないでしょう。」

旧友よ、そのツッコミは
なかなかダメージがでかいぞ。

「あれ、じゃあ、昨日、俺が迷子になったのはくたびれ損?」

JJと合流さえすれば
ちゃんとここまで、最短ルートで
帰ってこれたわけである。

それを自覚したとき、
俺の全身からエクトプラズムが
出てきそうになった。

幽体離脱しちゃうよ…。

「俺はな、ってことは…。」

俺は背負ったままのイルルを見せ、
うつ伏せに寝ているレグナくんを
アゴで示す。

「ああ…。これは、ネンザ?ですかね…。」

イルルの足を見てJJが心配そうにつぶやく。

レグナくんのほうには
目立った外傷は残っていないけど
失った血はすぐには戻らないしな…。

「というわけで、この時間を活用して作戦会議中です。」

ナターシャさんがお姫様の顔になって
JJに状況を説明する。

さっきまで、戦う治癒士の顔だったんだけど…。
女ってコワイです。はい。