勇者34歳

「じゃあ最初から話しますよ。」

さっぱり理解できなくて硬直してると、
ラウザは、ようやく俺たちに対して、
まともに説明する気になったらしい。

「そもそも魔族狩りの僕が、何故、イルルの魔族狩りとしての力の使い方を教えようとしたかと言うと。」

ラウザはそこで、コーヒーをひとくち飲んだ。
そのコーヒーどこから出したんだよ…。

こっそりツッコミを入れていると、
ラウザが続きを話し出す。

「僕が魔族狩りとして覚醒させた相手の魔符の能力を使えるようになるから。」

「今回の場合は、ラウザとイルルには
能力的な親子関係ができていているってことか。」

リーヴェが今回の場合、の要約をしてくれた。

「リーヴェさんのまとめで、だいたい合ってる。」

ラウザが正解を認める。

「で、さらに言うとしたら、その能力的な親子関係が構築されると、互いに、生きてるか死んでるかわかるってことかな。」

「さすがですナターシャ様。」

ラウザがナターシャさんを賞賛する。
ナターシャさんは異常に頭がいいからな…。
ラウザの切れ切れの説明でも
要点を、把握したらしい。

「…俺はひたすらイルルが心配だよ…。」

口に出しては言わないけど。
男にしか興味がない魔族狩りの男に
生死程度の情報を握られることになるとは…。
イルルも災難である。