勇者34歳

「だいぶ、派手にやらかしたようじゃのぅ。」

部屋の扉を開けるなり
ナターシャさんの声がした。

俺はイルルを背負ったまま、
部屋の中の様子を把握する。

レグナくん以外は起きてしまったようだ。

って、ラウザ、なんでまたここに。
イルルが落ちたというのに、
探しもせずにさっさと部屋に避難したのか。

俺はラウザを睨む。

「イルルを探さずに部屋に戻ったのは事実だけど。」

ラウザは、俺が睨んだ理由を
正確に理解していた。

それは、希望的観測なのか?
魔符の力なのか?

返答次第ではタコ殴りにして
部屋から叩き出してやりたい。

「イルルから、魔符の模様を取り出したとき、魔族狩りとしての能力で、僕と親子関係ができてるから。」

ラウザにしては
珍しく長く話してくれたが、
なるほど、さっぱりわからん。

というレベルである。