勇者34歳

「ぽこぉぉぉお!」

イルルの絶叫が聞こえた。



俺は地面に激突する瞬間、痛みに覚悟を決めたが、

その瞬間はやってこなかった。




5秒経ち




10秒経ち




俺は恐る恐る、目を開ける。

俺の体は、イルルの魔符で縛り上げられ、
宙に浮いていた。

「話しかけるなよ。」

イルルはそう言って、
七色に光る紐をゆっくり下ろしていく。

俺は、無傷で地面に降りた。

しかし、次の瞬間、
イルルの魔符の効果が切れて、
イルルが落下する。

集中力が切れたのだろうか。

「おわぁあぁぁぉおお!」

イルルが悲鳴を上げるが、
足から落ちたのと、
落ち始めた高さが2階というのもあって
少なくとも命に別状はなかった。

「あー…、足、いてぇ。」