勇者34歳

イルルはあまりの気持ち悪さのためか、
石化してしまっている。

変態の皮膚を直に触ってしまったら
そりゃ、石化もするだろう。

変態が感染するかもしれないし。

「イルル!」

ラウザの声が、叱責に近い。

「集中を切らすな!」

とは言うものの、
ラウザの集中力も切れている。

想定外の事態で、
動揺するのは無理もないけど、
魔族の美形具合から強さとか
わかんなかったのかな…。

どうしよう、これ。

イルルは次の魔符を使って
魔族を縛ろうとしたが。

「アホか。同じ手が通用するほどバカなつもりはないんや。」

魔族がそう言って、体を起こそうとした。

体が小さくなっているイルルは、
あっさりと吹っ飛んでしまった。
大人の体格だったら吹っ飛ばされずにすんだと思う。
思考パターンは5歳児くらいだけど。

とかいうことを光の速さで考えてたら
吹っ飛ばされたイルルは、そのまま



ベランダから落ちた。



「っ!」



おいぃ?!
ここ2階なんだけどっ!

イルルっ!