勇者34歳

「お!老け顔の勇者やん。おひさやな。」

出たーー!ーー!

としか言いようがないが
今は深夜なので、
喉まで出かかった悲鳴を飲み込む。

「ひっ…!」

変な声が出てしまったが
それはどうでもよくて。

そこには、メルスベルク鉱山で悪事を働いていた美形の魔族がいた。

「おま、捕まったんじゃ…。」

「勇者さんが忘れられなくて出てきてしもたわ。」

き、キモッ…。

俺としては永久に、
きれいさっぱり、
塵ほども残さず、
忘れ去ってほしかったんですけど!

「その蔑みの視線、ゾクゾクするわぁ~。」

ラウザが嫌なものを見るような目で俺を見た。

「知り合いか?これ、滅してもいいか?」