勇者34歳

「あなたがレグナを助けてくれたんですね。」

天使のおじさんがナターシャさんに話しかける。

「はい。でも、これ以上、うまく傷が塞がらなくて…。」

ナターシャさんも、
どれほどの魔力を使ったのかわからないけど
かなり無理をしたようで、顔色が悪い。

「この傷は、魔族につけられたもののようですね。傷口に呪いがかかっています。呪いを解かないとうまく塞ぐことができません。」

魔族…。
このへんにいるようだ、という事実は
魔族狩りのラウザが言っていたから
間違いないんだろう。

天使と魔族が
どの程度険悪な関係なのか知らないが
レグナくんの翼を撃ち抜く程度には険悪なようだ。

色々、考えていたら
翼から黒く変色した羽が落ち、
傷もゆっくりと塞がってきた。

15分くらいかけて
傷はゆっくりと治っていった。

レグナくんの表情から険しさが消える。

傷口を塞ぎ終わると
ナターシャさんと天使のおじさんは
ぐったりしてしまった。

レグナくんのベッドの端に倒れ込んでいる。
体を起こしているのもつらいようだ。

俺の知らないところで何があったか聞かないと。

レグナくんが
怪我をしている理由が全く理解できないし、
何故翼を撃たれたのかもわからない。

苛立って、部屋を見渡したが
今晩、会話をすることができるのは
リーヴェくらいだろう。

怪我をしたレグナくんや
治療で疲れきったナターシャさんを
今起こしてまで聞くことはできない。

詳しい話は明日聞こう…。

今日は、すごく長い1日だったな。

俺も疲れたし…眠い…し…。