「なっ…ナターシャさん?!レグナくんっ?!」

俺は動揺した。

「僕は大丈夫。これ、レグナくんの血だから。」

ナターシャさんはそう言って
適当なベッドの上に
レグナくんをうつぶせに寝かせる。

「翼を撃ち抜かれた。ある程度は治したけど、傷をまだ塞ぎきれてない。」

ナターシャさんは淡々と状況を説明していく。

「リーヴェには、教会に行ってもらったよ。純天使の扱いはよくわからないからね…。」

「目立たないように言ったのに…なんで、翼なんか出したんだ…。」

俺はレグナくんの顔を見た。
レグナくんの顔は真っ白で、血の気がない。

「ぽこさん、レグナくんは答えられる状況にないから、後で詳しく話すよ。」

ナターシャさんはそう言って、
レグナくんの出血を止めるのに必死だ。

「なんか、魔法が効きづらくて…。僕が16歳くらいの時の魔力と同じくらいかな。」

ナターシャさんから奪われたのは、
積み重ねた時だけじゃなくて
魔力も、奪われているんだろうか。

俺には魔力がないから
理解したくても、わからない…。

その時、部屋の入り口の扉が開いた。

「レグナ!」

一目で
教会の関係者とわかる服装をした、
痩せたおじさんが入ってきた。

痩せたおじさんの背中が一瞬光る。

次の瞬間、白い翼がはえていた。
このおじさんも天使だったらしい。

レグナくんよりも小さい翼だったが
今は、そんなことはどうでもよくて
この天使のおじさんがレグナくんを
助けてくれればそれでいいのだ。

天使のおじさんが、背中に翼を出した後、
リーヴェがそっと部屋に入ってきて、
部屋の隅で経緯を見ている。